《3.「個食問題」で混乱!?》
●気づいたら矛盾が・・不安になりました
「個と個がいかに繋がるか。をひらすら考え続けてきたように思います。」と書きました。
ところが、ある人の一言がきっかけで、考えが混乱してきました。
「個食は問題です。世の中おかしくなってしまうのではと、危機感を感じます。」
もちろんそうだよ。と思いつつ、えっ?個が問題!?
それをきっかけにいろんなことを思いだしました。
#ある定食屋さんでのこと・・
今どきな定食屋さんができました。流行っていると聞くと一度は行ってみたい私は早速出かけました。
システムはとても面白い。学生食堂のような感じで、ありとあらゆるおかずが揃っていて、どちらかというと普段家で食べるようなメニュー。好きな物を好きなだけ選べるようになっています。楽しいですね。
いかにも単身赴任のお父さんや、独身サラリーマンにうけそうな感じ。コンビニの代わりに利用するお客さんが多いのかな、と思いきや。
店に入ると親子4人の30代夫婦の家族を発見。見ると、それぞれが見事に違う選択。お母さんがコロッケとサラダ、子供は、ハンバーグとポテト、オムライス、お父さんは魚の塩焼きにみそ汁ご飯、おでん。内容は少々違うと思いますが、まぁこんな案配でした。
実は私も、職業柄レストランなどに行くと、必ず妻とは違うものを注文してシェアしながら食べるほうで、またそれが楽しみ。そんな私ですが、さすがにこの光景には違和感がありました。この家族は家でもこんな食事をしているのかな・・。あなたはあなた、私は私。
#総務省のプレゼンテーションでのこと・・
一昨年6月、総務省が行った地域再生計画全国の事例発表の場。私は伝導師という役割で、「ねおかんぱーにゅ南部の取り組みについて」都内某所でプレゼンテーションをしました。その際、担当大臣からいただいた忘れられない言葉があります。
それは、「都内の家族は、親子が一緒に過ごす時間が極端に減り、それによって様々な問題が起きています。”家族が一緒に、きずなを深める時間を過ごす事”が大切なテーマとなっています。みなさんは地方に戻り、都会の家族にそういった時間を提供できる団体となってください。」でした。私は励ましのメッセージと受け取りました。
他にもいろいろと思いだしましたが、よく考えてみると、意外にも私の中で”家族”という存在が、非常に大きいことに気づきました。
個と個がいかに繋がるか。とやってきたことに矛盾はないのか?という不安がつのった瞬間でもあったし、混乱したきっかけでした。
●”個食”の意味とそれが無かった昔の話
「個食」とはなんでしょうか?
一人で食べる食事。他人と一緒に食べることが嫌いなこと。
食の好みが合わないために自分の好きな物を好きなように食べたいこと。
一人旅での食事。正しい定義は・・?
ネットで調べました。すると、一回で食べきれるサイズ。というのもありましたが、出てきました・・「子ども一人で食事をしている様子。家族がバラバラに食べる食事。孤食とも書く。・・・」
なんとも寂しい言葉ですが、今の社会では、ある意味しかたがないことであることは間違いありません。
例えるには極端かもしれませんが、昔の田舎の暮らしに注目していただけませんでしょうか。
私の郷土料理のバイブルとも言える「南部の味と暮らし」という本の一文にこんな記録があります。「6月…田植え…え(結)をし、近所・親戚が共同で田植えをする。村中の田植えが終わったら日を決めて休む。嫁婿は実家へ呼ばれる・・」
昔、自給自足に近い生活をしていた頃、自然相手の農作業は生活と切っても切れないものでした。年中行事は農作業の合間にあって、豊作の祈りだったり感謝だったり、お疲れさま、という”礼”。子供を大事にする行事。村のしきたりなどなど、家族を核にして、隣近所、親戚、村が一体で生活を営んでいました。
農作業は、親戚家族総出で行い、女衆は、料理を作ったり子守をしたり、小さい子供も仕事を手伝います。年寄りは知恵と経験を活かして家をまとめます。年寄り、子供、家族が団結して生活を共にしました。そんな絵の中に「孤食」はありません。
6月、田植えの結(え)とは、共同作業の事です。お互い様で仕事をしてお互いを頼り、お互いをいたわり、協力し合います。食事もさることながら、一緒に生きていくことの原点が見えてきます。
●”個食問題”に立ち返ります。
個食の問題について、「親と子。どうやったらお互いがそれに気づくのだろう?」とある人が言いました。
私なら・・「それは、家庭や親が問題。食事は親のする教育の一番大切な部分。親が食の大切さを認識し、子供に対して、食を通じた知恵、文化、価値観を教え、ひいては自然や環境を守ることの大切さ、感謝を伝えるよう努力しなくてはいけない。」などと偉そうに言いたいのですが・・。しかしそれは無理です。ひょっとしたらいけないことかも。
なぜなら、そんな社会ではないからです。自然に身に付いていた昔とは違います。生活環境も、家族構成も、仕事の仕方も。もちろん時間やお金の使い方も。だから昨今”食育”が叫ばれるのだと思いますが、失われつつあるものを維持することの大変さ。並大抵ではないと思います。
【インデクス】
=1= 観光→3つの回廊→4つのツーリズム。今までをふり返る
・自治体の施策と私の関わり・”新井”から”妙高”へ。観光の移り変わり・認知されつつあるグリーンツーリズムというキーワード
=2= 食からスタート。個と個の繋がりが私のテーマ
私にとっては食がスタート・精神的繋がりはビジネスをイメージしにくい・個と個の繋がりがずっとテーマだったことを確認
=3= 「個食問題」で混乱!?
・気づいたら矛盾が・・不安になりました・”個食”の意味とそれが無かった昔の話・”個食問題”に立ち返ります。
=4=(最終)これからの課題
・「一緒」と「学ぶ」がイメージできればいいなぁ・グリーンツーリズムをプランするなら・この先の宿題とさせてください
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