「ここにしかないもの」ブランドはいずこ?

地域活性化のNPO活動をやっていると、ミニコミ紙やマスコミのインタービューでよく尋ねられる。

「村越さんにとって、この地域の魅力ってなんですか?」

この問には、どうも答えにくい。たいてい、「人が好き。自然がいい。食や文化がいい。」などと言ってしまうが、本当は比較できるほど全国津々浦々の事を知っている訳では無い。

自分にとってこの地域は、= 住まいを持っている所であり、生まれ育った所。よって、親戚、知り合いも多いし、地域に関する知識も比較的ある。

都内に数年住んだ事はあるので言うならばUターン。他所の地域にいて特別な興味を抱いて移り住んだ人間とは違う。

もし自分がへそ曲がりだったら、せっかくの取材をシラケさせる事もお構いなしに、「別に」と言ってしまうかもしれないな・・。

「別に」

「別に」。と答えた理由は、この地域に別に魅力を感じない。という意味出はないぞ。要するに、自分は”この地域だけ”が好きな訳ではない。と言いたいのだ。

前に書いたように、この地域には親もいる、知人も多い、苦楽を共にした家族と友人、見慣れた風景や土地、学び舎、そんな所が嫌いな訳ない。但し、きっと別の地域に移り住む事になったとして、故郷は懐かしく特別な存在として、あらゆる地域に魅力を感じ今と同じ事をしているはずだ。

では、今は何をしているかというと、職場としている「ねおかんぱーにゅ南部」を拠点に、新井南部地域の問題の解決、持続性のある豊かな暮らしを確立していく。ということを地道にしている。

では、それは何故かというと、その目標達成は、ただこの中山間地域に留まらず、近隣地域、中心商店街、交友のある町へと波及していけるに違いない。あるいは、そのような地域や人と交流しながら共に成長していけるに違いないと考えているからだ。

単純に「喜びを共有できる仲間が増えていく」そのことが私の価値観である。

方法論

そこで、何をどうしようか?ということだが、前述の問題や課題解決のために、ここでは、地域資源を商品とした購買(又は利用拡大)に話を進めてみたい。

地域には、自然が産み出した風景や環境と、人が育んだ文化がある。「この自然(景観、街並み)+この暮らし+プロダクツ+人の思い」をひっくるめて文化とし、明文化し認知されればそれは、全国唯一の(ここにしかない)ブランドと言ってかまわないのではないか。

たりえる条件を、消去法的にあげてみた

  1. ただ伝え、広めただけではだめ
  2. 美しい自然があるだけではだめ
  3. 人や暮らしとの関わりで持続的に育まれていなければだめ
  4. ストーリーがないものはだめ
  5. 人の思いが備わっていないものはだめ

プロダクツという名前を使ったが、「物質としての製品」「サービス」、なんでもかまわない。

このようにしてユニークなブランドを作ることを提案する。

それは思い×思い

仮説として、ブランドの作り方が見えてきた。

そこで、何がそのプロダクツのファーストステップとなり得るか?だ。

ここに、「巨大なビジネスに成長するに至る、最初の小さな思いの存在」という、有名な逸話を紹介する。ウォルト・ディズニーがディズニーランドを作ろうとしたきっかけとその後。

ウォルト・ディズニーは自分が遊園地に行った経験で、遊園地はたいへん汚い所。子ども向けの施設であったところから、「もっと綺麗で、大人も子どもも楽しめる遊園地はないのか」と考えたそうだ。

これは単に語り知られている話で、そこには様々な隠れた要因があったに違いないが、少なくともそう語るウォルトディズニーのその後の行動、現在までのそのビジネスの移ろいには、確かな思いの積み重ねが感じられるのだ。

これは、ディズニーランドのオープン時のスピーチ。:「私はディズニーランドが人々に幸福を与える場所、大人も子供も、共に生命の驚異や冒険を体験し、楽しい思い出を作ってもらえる様な場所であって欲しいと願っています。(wikipedia.orgより引用)」そして今日、ディズニーのそれぞれのテーマパークに受け継がれることになったという。

ファーストステップは、苦境や経済困難にあっても、その解決そのものが目的ではない。そこに語られる夢や思いあってのことだと私は思う。

現在・過去・未来

私の地域、新潟県妙高市としては、「地域ブランド創成」や「地場産業振興」「ニューツーリズム」「産業観光化」「市民活動支援」は多かれ少なかれやっている。そこで何が生まれ、育ち、実を結んだか。私はそれについて触れるつもりはない。他地域のかたは、ご自身の地域で当てはめ評価の如何で、先ほどの方法論で列挙した条件を検証してみたらどうだろうか?自身のプロジェクトについても同様に・・。

おしまいに、私が関わっている同地域の事業のこと。

本日「つくりびとの住まう村「アルネ小濁」」の雪掘り作業があった。今年の大雪で、限界に達した修復中の古民家の除雪ボランティアだ。それは「古民家ワーク」と称する、言うならば創造・啓発スキームに位置するもの。今日は、久しぶりの好天で気温も高く、気持ちの良い空気の中で、激しいながらも楽しい労働時間を過ごすことができた。そこで、屋根の上で一休みにこの写真の風景を見ながら思った。

DSC02836

こんな気持のいい日に、仲間とこんなことしていれるなんて幸せ!

この枝ぶり、生き物が歩いていそうな雪の斜面。この景色は今までこの家の住民や、近所の人たちがこうやって眺められてきた風景なんだなぁ。

これは、今、ここにしかない貴重な時間と空間。

大事にしたいなぁ。これを伝えたいなぁ・・。

ここにしかないもの。それをどうする?どうやって?誰に?

頭でいろいろ考えても何も伝わっていない。ここにいる仲間以外、誰とも繋がっていない

決して大勢の観光客に押し寄せて欲しいなんて思わない。しかし、もっといろいろな人にこの時間を体験してもらいたい。この価値に気づいて欲しい。と思った。

ファーストステップはどこにあって、どう繋がっていくかは全くわからない。私は、下手くそなスノーダンプに振り回されながら、「これは未来へ返すための私の仕事なのではないか?」。と、私を取り囲む空、大地からしみじみと感じとった。

そしていつかどこかで、なにかがブランドとなる。そう思った次第。

About

2011年02月06日 20:16に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「ツイッターのタイムラインは「ちのもり」」です。

次の投稿は「それをやれるのは誰だ」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

最近のひとコーナー

カテゴリー

年月別表示

2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年

最近の コメント

ねおかんファーマーズ 新潟日報「晴雨計」にコラム掲載